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2024年8月15日木曜日

終戦の詔書

本日は、終戦の詔書が「玉音放送」として日本国民に向けて発せられた日。「終戦の日」を廻っては諸説あるが、天皇陛下からの詔書発布をもって、国民が矛を収めることになったようです。その後も、北方領土への侵攻などもあり、戦いは続いてしまうのですが・・・。

 この大切な「終戦の詔書」について、ゆっくりと読み込んだことの無い方々も多いと思います。「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び・・・」は戦後の占領下の苦しみを憂いた言葉でありますが、戦時中のことと考える人も多いようです。

詳しく解説しているWebサイトから抜粋して紹介したいと思います。この機会にじっくりと拝読してみてはいかがでしょうか。

 

終戦の詔書

 国立公文書館デジタルアーカイブより

 昭和20(1945)年8月14日の御前会議で、ポツダム宣言の受諾が決定され、同宣言受諾に関する詔書が発布されました。鈴木貫太郎内閣の各国務大臣が署名しています。翌15日正午、いわゆる「玉音放送」が行なわれたのち、「内閣告諭」が読み上げられました。「聖断既に下る」として、国を挙げて「国威を恢弘(かいこう)」する決意を明らかにするとともに、「内争」・「軽挙妄動」を戒めました。

天皇の大権に基づいてポツダム宣言受諾に関する勅旨を国民に宣布した文書。1945(昭和20)年8月14日発布され、戦争終結が公式に表明された。同日、天皇は詔書を録音、翌15日正午、その内容はラジオ放送を通じて広く国民に報じられた。



終戦ノ詔書(昭和二十年八月十四日)

 朕深ク世界ノ大勢ト帝國ノ現状トニ鑑ミ非常ノ措置ヲ以テ時局ヲ収拾セムト欲シ茲ニ忠良ナル爾臣民ニ告ク

 朕ハ帝國政府ヲシテ米英支蘇四國ニ對シ其ノ共同宜言ヲ受諾スル旨通告セシメタリ

 抑々帝國臣民ノ康寧ヲ圖リ萬邦共榮ノ架ヲ偕ニスルハ皇祖皇宗ノ遺範ニシテ朕ノ拳々措カサル所嚢ニ米英二國ニ宣戦セル所以モ亦實ニ帝國ノ自存ト東亜ノ安定トヲ庶幾スルニ出テ他國ノ主權ヲ排シ領土ヲ侵スカ如キハ固ヨリ朕カ志ニアラス然ルニ交戦已二四歳ヲ閲シ朕カ陸海将兵ノ勇戦朕カ百僚有司ノ勵精朕カ一億衆庶ノ奉公各々最善ヲ盡セルニ拘ラス戦局必スシモ好轉セス世界ノ大勢亦我ニ利アラス加之敵ハ新ニ残虐ナル爆彈ヲ使用シテ頻ニ無辜ヲ殺傷シ惨害ノ及フ所眞ニ測ルヘカラサルニ至ル而モ尚交戦ヲ繼續セムカ終ニ我カ民族ノ滅亡ヲ招來スルノミナラス延テ人類ノ文明ヲモ破却スヘシ斯ノ如クムハ朕何ヲ以テカ億兆ノ赤子ヲ保シ皇祖皇宗ノ神靈ニ謝セムヤ是レ朕カ帯國政府ヲシテ共同宣言ニ應セシムルニ至レル所以ナリ

 朕ハ帝國ト共ニ終始東亜ノ解放ニ協カセル諸盟邦ニ對シ遺憾ノ意ヲ表セサルヲ得ス帝國臣民ニシテ戦陣ニ死シ職域ニ殉シ非命ニ斃レタル者及遺族ニ想ヲ致セハ五内爲ニ裂ク且戦傷ヲ負ヒ災禍ヲ蒙リ家業ヲ失ヒタル者ノ厚生ニ至リテハ朕ノ深ク軫念スル所ナリ惟フニ今後帝國ノ受クヘキ苦樋ハ固ヨリ尋常ニアラス爾臣民ノ衷情モ朕善ク之ヲ知ル然レトモ朕ハ時運ノ趨ク所堪ヘ難キヲ堪ヘ忍ヒ難キヲ忍ヒ以テ萬世ノ爲ニ太平ヲ開カムト欲ス

 朕ハ茲ニ國體ヲ護持シ得テ忠良ナル爾臣民ノ赤誠ニ信倚シ常ニ爾臣民ト共ニ在リ若シ夫レ情ノ激スル所濫ニ事端ヲ滋クシ或ハ同胞排擠互ニ時局ヲ亂リ爲ニ大道ヲ誤リ信義ヲ世界ニ失フカ如キハ朕最モ之ヲ戒ム宜シク擧國一家子孫相傳ヘ確ク神州ノ不滅ヲ信シ任重クシテ道遠キヲ念ヒ總カヲ将來ノ建設ニ傾ケ道義ヲ篤クシ志操ヲ鞏クシ誓テ國體ノ精華ヲ發揚シ世界ノ進運ニ後レサラムコトヲ期スヘシ爾臣民其レ克ク朕カ意ヲ體セヨ

 

現代語訳  (監修・川上和久明治学院大教授)

 私は深く世界の情勢とわが国の現状を考え、非常の手だてをもって事態を収拾しようとし、私の忠義で善良な国民に告げる。

 私は政府に、米国、英国、中国、ソ連の4カ国に対し、共同宣言(ポツダム宣言)を受諾することを通告させた。

 そもそも国民の安らかな生活を図り、世界の国々と共に栄えるようにしていくことは、歴代天皇が残してきた手本であり、私もそのように念じてきた。先に、米英2国に宣戦布告した理由も、実にわが国の自存とアジアの安定とを願ったためで、他国の主権を排し、領土を侵すようなことは、もとより私の意志ではない。

 しかし、交戦は既に4年を経た。陸海将兵は勇戦し、役人たちも職務に励み、一億国民も努力し、それぞれ最善を尽くしたにもかかわらず、戦局は必ずしも好転せず、世界の情勢もまた私たちに不利である。

 そればかりか、敵は新たに残虐な爆弾を投下して、罪のない人々を殺傷し、その悲惨な被害の及ぶところは計り知れない。それでもなお、交戦を継続すれば、ついにはわが民族の滅亡を招くのみならず、ひいては人類の文明をも破滅させることになってしまう。

 そのようなことになれば、私はどうして、多くのわが子とも言える国民を保護し、歴代天皇の霊に謝ることができようか。これが、私が政府に共同宣言に応じるようにさせた理由である。

 ポツダム宣言の受諾にあたり、私は、わが国と共に終始、アジアの解放に協力した友好諸国に対し、遺憾の意を表さざるを得ない。国民においては、戦場で死亡したり、職場で殉職したり、不幸な運命で亡くなった人々やその遺族を考えると、悲しみに堪えない。

 さらに、戦場で傷を負い、災禍を被り、家や職場を失った者の厚生にいたっては、私が深く胸を痛めるところである。思うに、今後、わが国の受ける苦難はもとより尋常なものではない。国民の心もよく分かる。

 しかし、時世の移り変わりはやむを得ないところで、耐え難いことを耐え、忍びがたいことを忍んで、将来のために平和を実現しようと思う。

 私はここに国体を護持し得て、忠義で善良な国民の真心を信じ、常に国民と共にある。もし、感情の激するままに争い事をしたり、同胞同士が互いに相手をけなし陥れたりして、時局を混乱させ、そのために道を誤り、世界の信頼を失うようになれば、それは、私が最も戒めることだ。

 どうか、挙国一致してこの国を子孫に伝え、わが国の不滅を固く信じ、国家の再生と繁栄への責務は重く、そこに至る道は遠いと心に刻み、持てる力を将来の建設に傾け、道義心をあつくし、志を固くして、わが国の美点を発揮し、世界の進歩に遅れないように努力しなければならない。

 あなた方国民には、私の思いをよく理解し、身につけてほしい。(監修・川上和久明治学院大教授)

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